ネット銀行が普及するに連れて、セキュリティ強化が重要な課題の一つとなっています。2段階認証システムの登録を各金融サービス業者が推奨していますが、これは登録しておいた方が良いのでしょうか?
目次
増えるネット銀行利用者
ネット銀行の利用者は年々増加傾向にあります。住信SBIネット銀行の口座数・残高の推移を見てみますと口座数は10年前の2008年と比べると10倍になっています。
ネット銀行は独自のメリットが多くあります。利息が従来の銀行に比べて高く設定されており、ATM手数料が24時間無料や、振込手数料が従来の銀行よりも安いので消費者に取っても便利でお得な金融サービスです。ネット銀行ですから新規の口座開設の時ですら、銀行に出向く必要がありません。このように気軽に口座を持つことが出来るのも人気の理由でしょう。
主なネット銀行は「ジャパンネット銀行」「楽天銀行」「イオン銀行」「住信SBIネット銀行」「セブン銀行」「じぶん銀行」などです。コンビニATMに使えるマークがあったり、広告などよく出しているので利用したことのない方でも見かけたことはあると思います。これらの銀行はネットワークの銀行を専業にしている業者です。中には実際の店舗もあったりしますが、ネットで利用することを前提としての銀行ですから数も多くはありません。
よく囁かれるセキュリティ面の心配
従来の銀行にはない気軽で便利な利用が出来る一方、セキュリティ面において心配なところもあると思います。「もし悪意のある第三者にパスワードを盗まれてしまったら?」「コンピュータウイルスによって勝手に引き出されるようなことはないのか?」
ネットワークというオープンで開かれたサービスの特性上、”ない”とは言い切れませんし、実際にパソコンを乗っ取られてネットにある預金を不正に引き出されるという事件は起きてしまっています。
”銀行は1000万円まで補償される”と基本的にはなっていますが、それもネットワーク犯罪の被害にあったという証明が出来た前提ですし、犯行によってあたかも本人が指定口座に振り込んだかのようにする手口が使われるかもしれません。日々サイバー犯罪は巧妙化していく中で、100%安全とはなかなか成り得ないのです。
2段階認証システム
ただその100%に出来る限り近づける事は可能です。
その技術のひとつが2段階認証システムです。2段階認証システムとは、IDやパスワードとは他にSMSで送られたセキュリティコードやスマートフォン上でログイン可否の選択などで実際に本人が行っているかを判別する技術のことを言います。
例えば「住信SBIネット銀行」の2段階認証システムはスマホの専用アプリから口座を登録しておく事により、アプリからロックを解除してからでないとログインできない仕組みになっています。一度設定すると登録したスマホのアプリでしかログインを認証出来ません。
その他、Googleが提供している2段階認証システムがあります。こちらもスマホからアプリ経由で利用ができ、金融サービスと連携させることで数十秒以内のみ有効のコードを生成してくれるものです。こちらは提携しているサービスでないと利用できませんが、その提携先も徐々に増えていますので今後あらゆる金融機関との連携が可能となるでしょう。
無償で提供されており、設定も難しくないのですぐに導入することが出来ます。
2段階認証はセキュリティ強化になる
2段階認証システムをつけることで、もしパスワードが悪意のある第三者に渡ってしまったとしても上記にあげた認証システムを使うことでネット銀行をはじめ、その他金融サービスを利用する本人のスマホが無ければログインすることすら出来ないのです。パスワードのみの認証と比べるとセキュリティ面に関してはかなり強固なものになります。
しかし完全に安全とは行きません。スマホの画面をそのままのぞき見して乗っ取られるようなサイバー犯罪にあってしまった場合はセキュリティコードも読まれてしまう可能性もあります。
さらにはそのスマホ自体を紛失してしまった場合も同様に2段階認証システムが有利に働くことはなさそうです。
例えるならば、自転車に付属している鍵にさらに太いチェーンでもう一重鍵をかけるイメージだと分かりやすいかもしれません。ないよりもあった方が犯罪に合う確率は減少するのです。
結論
「ネット銀行には2段階認証システムは必要」です。
IDやパスワードのみですと、どこから流出し盗まれてしまうか分かりません。2段階認証システムを取り入れることでセキュリティはより強固なものになるでしょう。
ただし、それだけで確実に100%安全とは言い切れないので”パスワードを使いまわししない”、”PCのウイルスソフトは必ず入れる”など、基本的なセキュリティ対策を常日頃から心がけることが大切です。
さらにはセキュリティに関する最新情報には敏感になり、新しい対策を取り入れていきましょう。2段階認証システムはそんな最新の対策のひとつでもあります。