フィンテックの普及において重要な柱を担うのがビッグデータと呼ばれる膨大なデータです。では、ビッグデータとは?という所からビッグデータは実際にどう活用されるのかという活用例をいくつかあげてみましょう。
目次
ビッグデータとは?
最近、よく耳にするようになったビッグデータですが、このビッグデータは言葉の定義としてはまだ曖昧で様々な使われ方をしています。大きく分けて2つの意味で使われています。
一つは単に膨大な情報です。
そして二つ目は「その膨大な情報を収集、分析していく技術」というテクノロジーに観点を置いた意味合いです。
よく目にする"ビッグデータの活用”とはその技術を活用する、という事なのです。
ビッグデータの活用
ビッグデータにおける膨大な情報とは何を指すのでしょうか。それは多種多様です。
例えば、GPSの位置情報、検索履歴、SNSでのテキスト文章等はビッグデータに活用しやすい情報だと言われています。この3つの情報だけでも、『人々は何に関心があるのか』、『この先に繋がるトレンドは何か』、『誰がどこに行って買い物をしているのか』、その他多くの要素を収集し分析する事が出来るからです。
それを活用することで、トレンドが分かれば企業はどんな商品をどのように売っていくかを判断することが出来ますし、反対に売れない商品が分かれば無駄なコストを抑え、結果的に企業の成長に繋がることでしょう。
シカゴ警察・犯罪予測システム
2017年にアメリカ、シカゴ市警察がサウスサイド地区に導入した犯罪予測システムにもビッグデータが活用されています。
いつ、どこでどんな犯罪が起きるのか膨大な情報の中からAI(人工知能)が分析、予測し犯罪を未然に防ぐというシステムですが、シカゴ全体で前年同期比3%殺人事件が増える中でこのサウスサイド地区では殺人事件が約33%減ったのです。
TwitterなどのSNSで犯罪を企てるようなツイートも分析対象ですし、曜日や月の満ち欠けといった一見関係があるかどうか分からないようなこともデータの対象とされています。
AIの分析に基づき、犯罪が起きそうなエリアをマップ上で示し、そこにパトロールへ行くと実際に犯罪が行われていて逮捕に繋がったという事例がいくつもありました。ただ、なぜそういった結果になるのかは警察官ですら分からないのだそうです。AIが示すところに行ったら実際に犯罪が起こっていて逮捕したが、その根拠が分からないというのです。
つまり、AIによる分析能力もそうですがそれを支えるビッグデータも人間には理解できないほどの膨大な情報となっていると考えられます。
フィンテックとビッグデータ
トレンドから犯罪分析まで幅広くビッグデータは活用されています。では、フィンテックにおいてはどうでしょうか?金融業界におけるビッグデータは口座情報やクレジットカード取引履歴、株価の推移や経済指数などがあげられます。
与信審査においてもこのビッグデータが活用されており「Kabbage(カーベッジ)」という中小企業向けの融資サービスでは審査結果を平均6分で顧客に知らせ、無担保で融資を行うサービスを提供しています。
このカーベッジの融資申し込み欄には、銀行口座、クラウド会計サービス、クレジットカード決済情報、SNSを登録し、そのデータに基づき融資を判断しているのです。
本来であれば審査には2週間以上の時間を有する場合がほとんどですが、ビッグデータという確かな情報をもとにAIが高速で判断することでより精度の高い審査がスピーディーに行われています。
その他資産運用を自動で行ってくれるのロボアドバイザーもビッグデータとAIを活用したフィンテックサービスですね。
このようにビッグデータの活用にはAI(人工知能)が不可欠です。ビッグデータは人間が処理するにはあまりにも膨大な情報だからです。そしてその情報の点と点を線で結び、形にして人間が理解できる実体を見せてくれるのがAIの仕事です。
まとめ
ビッグデータは「膨大な情報を収集、分析する技術」として実際に多くの場面ですでに活用されていました。一般企業から警察まで非常に幅広い事が分かります。
フィンテック企業にとって膨大な情報は欠かせません。
とくにベンチャー企業にとっては大手金融機関に対抗する最大の武器と言っても良いと思います。既存の金融機関にとって新しい技術を導入するには古い体制を根本から変えていく必要もあり、システムを変えていくというのはかなり困難です。ベンチャーにとっては最初から新しい技術でシステムを組み、ビッグデータとAIを活用していくことが出来るでしょう。
ビッグデータがあることでこれからの発展により加速度を高めることが出来ます。
今後に期待したいですね。
ここまでご覧にいただき、有難うございます(^^)/