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「ロボアドバイザーの手数料1%高すぎ問題」について真剣に考える!
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「ロボアドバイザーの手数料1%は高い。」「自分で買った方が断然安い。」

ロボアドバイザーについて調べていると良く見かける意見だ。しかし実際のところどうなのだろう?彼らは何と比べているのだろうか。

今回はロボアドバイザー手数料1%高すぎ問題について徹底的に調べ、考えてみた。

ロボアドバイザーの手数料の現状

 自動で資産運用をAIにおまかせできる『ロボアドバイザー』のサービスの主力はウェルスナビ株式会社Wealthnaviとお金のデザインTHEO、楽天が運営する楽ラップの3つ。

THEOは先日、ロボアドバイザーの手数料を最大0.65%まで引き下げる事を発表した。

新しく導入するTHEO COLOR PALETTEは預かり資産に応じて手数料を引き下げるが、0.65%にするためには1,000万円以上を運用しなければならず対象者もそう多くはないだろう。THEO by お金のデザイン公式HP https://theo.blue/lp/campaign/color-palette/

しかし、0.90%~0.80%までの引き下げ条件は意外にも低くライトな投資家にはハードルは高くない。

THEOの最低投資金額は1万円からなのでブルーのカラーはまず適用されることになる。ただし、毎月の積立を条件に置いているため1万円以上の自動積立は必須だ。

エントリーの必要はなく、自動的に3カ月ごとに判定を受ける仕組みになっている。投資内容は従来のTHEOと変わらない。

ウェルスナビの手数料は1%据え置き

一方ウェルスナビの手数料は1%は変わらないが、今まで預かり資産から1%の手数料を取っていたものを運用資金の1%に変更。

それにより現金の部分には手数料は掛からない仕組みに。事実上の値下げではあるものの、預かり資産のほとんどが運用されるため今回の手数料の仕組み変更はあまり意味がない印象だ。

THEOの大幅手数料値下げに急遽手を打ったものだろう。ウェルスナビは長期割もあるが、こちらも0.05%程度の僅かな値下げでしかない。

楽ラップも固定報酬型、成功報酬併用型などコースが選べるようになっていてややこしいが殆どの人が選ぶ『固定報酬型』はファンド費用と併せて概ね1%の手数料だ。

ちなみに間違ってもこの楽ラップの成功報酬併用型のコースは選んではいけない。固定報酬の手数料が僅かに減る代わりに運用のプラスの収益部分から5.4%も手数料として取られるコースだからだ。

投資一任のロボアドバイザー主力3社を比較すると手数料はTHEOが一番安くなる。

しかし、カラーパレットの適用は早くても2019年7月から。まだ3社ともロボアドバイザーの手数料は1%で見て良いだろう。

手数料1%は高すぎる…のか?

手数料1%は本当に高いのか?何と比べればその答えが得られるのだろうか。まず筆者が運用しているウェルスナビのポートフォリオをみてみよう。

これは2019年3月15日時点のウェルスナビのデータ。リスク許容度5で約2年間積立しているが、一度最初に設定したポートフォリオは変わる事はない。買い付けているのは全てNY市場に上場している投資信託の商品、ETFだ。

一番パフォーマンスが良好な米国株(VTI)は『Vanguard Total Stock Market』というバンガード社が運用している投資信託で米国市場全体が投資対象。あらゆる分野の企業に投資しその数は3500社にも上る。

驚くべきはその信託報酬がなんと0.03%と格安。SBI証券などの証券会社から直接購入する事も可能。

投資信託の基準価格は信託報酬を引いた結果が出されるのでロボアドバイザーはそこからさらに1%の手数料が掛かってくることになり、実際ロボアドバイザーに掛かる運用経費は『各投資信託の信託報酬+ロボアド手数料1%』ということになる。つまり、運用経費で考えると1%以上の金額が掛かってくるのだ。

ざっとポートフォリオに出てきたETFの信託報酬を並べて見るとこうなる。

ウェルスナビ、リスク許容度5の組入ETF信託報酬

米国株(VTI):0.03%

日欧株(VEA):0.05%

新興国株(VWO):0.12%

米国債券(AGG):0.04%

金(GLD):0.4%

不動産(IYR):0.43%

これが手数料の1%の中に入っていると勘違いしている方もいるだろう。

この信託報酬がすでに掛かっているとなると一体ロボアドバイザーは何に手数料を取っているのだろうか。

手数料1%を払うメリットはないのか?

ロボアドバイザーは基本的に資産運用をしなくてもポートフォリオ構築は無料診断で出来る。ならばポートフォリオ構築が手数料の対象となる訳ではない。

では信託報酬でもなく、ポートフォリオ構築でもなく一体何に手数料を払っているのだろうか。

ここで買付手数料を見てみよう。インデックスファンドはノーロードが多いが、外国株・ETFは日本で上場していなければ証券会社で手数料は1約定ずつ5ドル以上は取られてしまう。

実はここに手数料1%のメリットが見えてくる。上記にあげた投資信託6銘柄は東京市場からは買うことは出来ないので毎月証券会社の外国商品取引から買付なければならない。

そうなると最低でも6銘柄=$30というとんでもない手数料を払う羽目になる。

それをロボアドバイザーを通すと手数料1%に収まる仕組みになっているのでこのような優良銘柄を気軽に持ち、積み立てて行く事ができる。

さらにポートフォリオのバランスが変われば自動でリバランスもしてくれる。

バランスファンドで良いのでは?

いやいや、そんな事考えなくてもノーロードの日本に置いてある似たようなインデックスファンドを自分で無料診断のポートフォリオを参考にして組合せるか、そもそも信託報酬の低い1つのバランスファンドで良いのでは?と投資に詳しい人は思うかもしれない。

ここで筆者が人気の投資信託から選んだバランスファンドを見てみよう。

eMAXIS Slimeバランス(8資産均等型)

運用方針 : 各マザーファンド等を通じて、日本を含む世界各国の株式(DR(預託証書)を含む)、公社債および不動産投資信託証券(リート)に実質的な投資を行います。

買付、解約手数料:0円

信託報酬:0.17172%

金ゴールドこそ、組入れていないもののロボアドバイザーとよく似た投資対象、パフォーマンスの投資信託だ。まだ設定日から1年経過していないが人気の投資信託。

信託報酬は0.17172%でタイトル通り8資産に分かれたポートフォリオでバランスを取る。

もちろん他には手数料は一切かからないのでバランスファンドでロボアドバイザーと同じようなインデックス投資であればコチラを積み立てていったほうが良い印象だ。

結論…やはりロボアドバイザーの手数料は高かった

ロボアドバイザーの組入銘柄を実際に全く同じように揃えるとなると手数料がとんでもなく掛かってしまい、自分で購入する方が高くついてしまうので手数料1%はむしろ安い方に見える。

しかし、紹介したようなバランスファンドの投資信託を購入すればロボアドバイザーと同じようなパフォーマンスが期待される上に手数料は掛からず、唯一掛かるのが格安の信託報酬0.17172%のみ。インデックス投資を主軸にしているファンドならそのくらいの価格帯がゴロゴロいる。

つまりロボアドバイザーは高いという結論に達する。冒頭にあげた「ロボアドバイザーの手数料1%は高い。」「自分で買った方が断然安い。」という主張は正しかったわけだ。

その手数料と信託報酬を併せれば約2%年間支払うことになり、バランスファンドの信託報酬0.17172%とはあまりにも大きな差があり将来のリターンにも響いてしまうだろう。

しかしながら、ウェルスナビなどのロボアドバイザーのコンセプトは良いと思うし何よりユーザーインターフェイス、エクペリエンスは素晴らしく使い勝手が良い。

投資を始めようか迷っていて何を購入したら良いか分からない方にとっては非常に強い味方になると思うが、このサービスが今後どのような展開になっていくのか見ていきたい。

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