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プロント初のキャッシュレス店舗!現金お断りは法的にはOK?強制通用力とは⁉
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カフェ&バー大手のPRONTO(株式会社プロントコーポレーション)が昨年の2018年11月、クレジットカードや電子マネーのみを取り扱うキャッシュレス店舗をオープンしました。今後このようなキャッシュレス店舗を2020年までに30店舗新たに増やしていくようです。

このキャッシュレス店舗とはその名の通り『現金お断り!』しかし、ちょっと待ってください。現金には”強制通用力"っていう法的な位置づけがあってお店側が断る事は出来ないはずでは…???現金を断る事なんて法的にはOKなの??見ていきましょう!

プロント、キャッシュレス店舗初のオープン

2018年11月8日、カフェ&バーでお馴染みのプロントに現金を取り扱わないキャッシュレス店舗がオープンしました。場所は丸の内にある二重橋スクエア地下1階のレストランフロア。

入口横には電子看板に大きく”WE ARE CASHLESS(現金お断り!)"の文字と決済に利用できる電子マネーやカード会社のロゴがずらり。

さらには従来店とは違い、メニューのシンプル化や自動コーヒーマシンの導入など人員削減に向けた取り組みを強めています。このマシンにより今までコーヒーの提供までに1分30秒かかっていたところを40~50秒に短縮する事を実現しました。

割引サービスがある電子マネー(プロン党Edy-R)をチャージできる機械も店内に設置しており、残高がない場合にもしっかり対応しています。

プロントはこのキャッシュレス店舗1号点を皮切りに2020年までにオフィス街を中心として約30店舗新たに増やしていくようです。

本当に現金は使えないのか

キャッシュレス店舗を看板として掲げてるわけですから、現金での支払いは出来ません。従来型の店舗のように現金を取り扱うレジはなく、会計カウンターにIDやカードで支払いが出来る機器が並んでいるだけです。

ただし、上記に述べたように店内で電子マネーに現金からチャージする事は出来ます。しかし、少々気になる所があります。

現金、つまりお札や硬貨は強制通用力という法的な力が働いていてそもそも断る事自体タブーなのではないかという所です。少しこの辺を掘り下げて見ていきましょう。

現金の強制通用力って何?

私が初めてこの言葉を知ったのは雑学を紹介するテレビ番組です。その中で紹介されていたのが『お店側は同じ硬貨は20枚までなら受け付けられるが、それ以上は断る事が出来る』というもの。

例えば、貯金箱からジャラジャラと集めた100円玉で3000円の物を購入しようとした時に支払い時には100円玉が30枚になるわけですが、そうなると同じ硬貨が20枚を越えるのでお店側は断る権利があるというのです。

なぜならば、同じ硬貨は20枚までならば強制通用力という法的な力が働いていてそれよりも多くなると強制通用力は効力を失ってしまう。

当時はなるほどっと思っていたのですが、ふと疑問になりました。

この強制通用力はキャッシュレス店舗に当てはめる事はできないのでしょうか。強制通用力をWikipediaで見て見るとこうあります。

強制通用力を認められた貨幣による決済は、額面で表示された価値の限度で最終的な決済と認められ、受け取る相手側はこれを拒否できない[2]ことが国家により保証されている。[1]

そして日本においての強制通用力の説明では

紙幣である日本銀行券(一般に「お札」)は無制限の強制通用力がある[4]。法令上の「貨幣」、すなわち通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律における「貨幣」は、一定限度で強制通用力が認められている[5]。かつての新貨条例貨幣法上の補助貨幣臨時通貨法上の臨時補助貨幣も同様に一定限度で強制通用力が認められていた。

以下、原義における「貨幣」と、法令上の「貨幣」は異なる事に注意を要する。

強制通用力を有する貨幣、すなわち通貨による支払いは最終的なものであり、受取人は受け取りを拒否することができず、これにより決済は完了する(支払完了性)[6]

なお、貨幣に強制通用力があることは、直ちに取引の成立を強制するものではない点に注意を要する(契約締結の自由、後述)。

ただ、一般的に取引で強制通用力を有する貨幣が支払手段として機能するのは、貨幣には富として蓄えられる価値の保蔵という機能があるからであり、また、強制通用力を有する貨幣には誰にでも受け取ってもらえるであろうという一般受容性が認められるためとされる[7]

金銭債務の弁済に強制通用力を有する通貨を充てたときは、民法第493条に言う本旨の弁済となり、その受領を拒絶するときは債権者は受領遅滞の状態となる(民413、492)。

とあります。特に注目したいのがこの部分です。

強制通用力を有する貨幣、すなわち通貨による支払いは最終的なものであり、受取人は受け取りを拒否することができず、これにより決済は完了する(支払完了性)[6]

やはりこの強制通用力があると受取人は現金を断る事は出来ないようです。

そうなると、このキャッシュレス店舗というのは法的にはNGという事になります。

しかし法的に問題があるまま運営されているわけは決してありませんよね。

プロント以外にもキャッシュレス店舗は各業界で増えてきてますし、格安スマホの契約も今ではクレジットカード決済のみの受け付けだったりしますから常に強制通用力が効力を持っているわけではなさそうです。

ではどう言った場合、現金を断る事が出来るのでしょうか。

契約自由の原則によって現金を断ってOK!

強制通用力にも例外はありました。それは契約自由の原則というものに関わってきます。

契約自由の原則

契約自由の原則とは、人が社会生活を営むに際し結ぶ契約は、公の秩序や強行法規に反しない限り、当事者が自由に締結できるという民法上の基本原則のこと。民法に直接の規定はないが、第90条(公序良俗違反の法律行為の無効)や第91条(任意規定と異なる意思表示)などがその根拠となっている。契約自由の原則は以下4つに分類される。
(1)締結自由の原則
契約を結ぶかどうかを当事者が自分自身で決定することができること
(2)相手方自由の原則
契約の相手方を誰にするかという意思決定の自由
(3)内容自由の原則
契約の中身に何を盛り込むかは自由ということ。売買なら、金額や支払い方法、納品時期などについては当事者間で自由に決定できる
(4)方法自由の原則
原則として、契約は当事者の合意だけで成立し、書面化するのか、口頭だけかも自由ということ

※SUUMO(スーモ)住宅用語大辞典>契約自由の原則より

これはキャッシュレス店舗においても当事者間(お店と消費者)で合意があれば支払い方法は自由に決める事が出来るという事です。

このためにはお店は現金では支払いできないですよっという事を明確にする必要がありますが、キャッシュレス店舗のプロントの店頭には看板に大きくWE ARE CASHLESS(現金お断り)のメッセージがあります。

そしてそれを見て入るお客様は現金での支払いが出来ない事に合意する事になるのです。

強制通用力対策は看板だった!

つまり、看板の現金お断りのメッセージがなければキャッシュレス店舗の運営は難しい可能性があるのです。

もしも事前に断りなかったり、現金お断りの表記が分かりにくく伝わらない場合には会計時に「あ、うち現金は使えませんよ。」と断っても強制通用力が現金には働いているため、現金の受け取りを拒否する事は法的に出来ません。

そのための対策として、分かりやすいメッセージで現金が使えないことをアピールする必要があり実際にキャッシュレス店舗では行っています。

看板がなければ法的に引っかかってくるとは驚きですよね。

というわけで、

キャッシュレス店舗での現金お断りは契約自由の原則、そして看板等の分かりやすい表記によって法的にはOKなのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。現金には強制通用力という大きな力が働いている事はご存知でしたか?基本的には現金は断る事は出来ません。

しかし、支払い方法を明確にし合意があれば現金を断る事は可能だったんですね。プロントも大きく打ち出していますから問題はありません。

ただこれからこのようなキャッシュレス店舗が増えていくに従い、法的なルールがあると知らないで運営するお店も出てくるかもしれません。

今後現金での支払いをめぐってのトラブルも増えていくと考えられますね。

フィンテックが進み、ますますキャッシュレス化の時代です。

やはり支払いが簡単になればなるほど便利に感じるでしょう。私たちも賢く利用していきたいですね。

長くなりましたがここまでご覧いただき有難うございます(^^)/


出典:『強制通用力』フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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