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許せない!消費税増税、便乗値上げにキャッシュレスを利用するな!
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令和元年10月1日より、消費税が現行の8%から10%に引き上げられます。消費税増税の際に話題になるのが、増税分よりも商品やサービスの価格を値上げする”便乗値上げ”です。さらにフィンテックが普及している今、この便乗値上げにキャッシュレス決済を組み込んで消費者側に選択肢を与え、反論の余地がないよう仕向けるという戦略を取る企業が相次いでいます

これが一体どういうものなのか、説明します。

便乗値上げとは?

デジタル大辞泉の『便乗値上げ』の解説を見てみましょう。

やむをえない理由に便乗して、それ以上の値上げを行うこと。特に、増税や原料費上昇などのために商品・サービスを値上げする際、その差額以上の値をつけること。

デジタル大辞泉『便乗値上げ』

企業にとって商品やサービスを値上げするのは消費者の反発やモノ・サービスが売れなくなるというリスクがあり、利益の為とはいえ容易なことではありません。なるべくなら値上げが見えないようにして反発を防ぎたいと考えるのが本音でしょう。その格好の機会となるのが、消費税増税なのです。一部の例外を除いてほとんど全てのモノ・サービスが値上げするので増税+αの価格を提示しても消費者は「高くはなったが、増税だから仕方ない。」と納得されてしまいます。

1000円カット『QBハウス』も増税時、便乗値上げ

過去の例も見て見ましょう。5%から8%に消費税増税された時にも便乗値上げが話題になりました。モノだけでなく、サービスにも増税以上の値上げをする企業が続出。例えば1000円カットで全国展開しているQBハウス

前回の値上げ時に行った価格変更が1000円→1080円。ここで「8%だから、税込み1080円でいいんだよね。」と思った方、要注意。まんまと騙されています。

1000円カットのQBハウスはその名の通り、料金はカット代税込み1000円。

消費税5%分が既に入っていました(厳密にいうと税抜き価格952円、48円税)。なのでもし、5%→8%に消費税増税で値上げをするのならば単純に考えると3%分の値上げをすればよいはず。

しかしこの時QBハウスは8%も価格を吊り上げました。

もし、純粋に増税分だけを値上げするのならば1030円(税込)が適正価格です。つまり、50円分多く値上げしているということになります。

これが、消費税増税時の”便乗値上げ”なのです。

便乗値上げにキャッシュレスを利用するな!

令和元年10月1日より消費税が10%に引き上げられます。消費税増税は値上げをする絶好のタイミングなのです。企業にとってこの機会を逃したら、いつ増税になるか分かりません。次は5年後かもしれないし、10年後…または増税が来ないことだって可能性としてはあるでしょう。

もちろん、BtoB(企業間)取引にも増税の負担は掛かります。この負担分を埋めるために”便乗値上げ”をせざるを得ない面はあるでしょう。だからといって明らかに余計な値上げは消費者が納得できるわけはありませんよね。

政府は消費税増税の際、キャッシュレスで最大5%ポイント還元をする方針を政府が打ち出しています。経済産業省は「キャッシュレス・消費者還元事業」を10月1日から実施。これにより、消費の落ち込みを防ぐと同時に現金からキャッシュレス決済への移行を促す狙いがあります。そしてこの還元ポイントは税金でまかなわれます。

しかしこの方針、まだ曖昧なところも多く課題を残したまま増税へ突入します。さらにはこのキャッシュレス決済のポイント還元の曖昧さに付け込んで便乗値上げをする企業が多々現れているのです。

その代表格がヤマトホールディングス(ヤマト運輸です。

ヤマト運輸の10月1日からの新料金体系

ヤマト運輸公式HP(http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/)より引用

ヤマト運輸公式HP(http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/)より引用

 

令和元年9月4日、ヤマト運輸は消費税増税の10月1日からの運賃新料金体系を発表しました。これまでのヤマト運輸の増税時の運賃値上げとは大きく異なる内容になっています。その最大のポイントは「キャッシュレス運賃」の新設です。

このキャッシュレス運賃とは一体どのようなものでしょう?

宅急便の運賃は、現行の基本運賃(税抜)に

  • 消費税率10%を乗じた1円単位の「キャッシュレス運賃」
  • 消費税率10%を乗じ、1円単位を切り上げ、10円単位とした「現金運賃」

の2種類の運賃からお選びいただくことができるようになります。

ヤマト運輸公式HP(http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/info/info_190904.html)より引用

 

運賃の選択肢が2種類に増え、クロネコメンバー割や電子マネーの支払い適用時にこの「キャッシュレス運賃」が適用されます。

「キャッシュレス運賃」で関東からの荷物を送る際の新運賃表を見てみましょう↓

ヤマト運輸公式HP(http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/info/pdf/info_190904_04.pdf)より引用

 

令和元年10月1日以前(増税前)の運賃と比べると

配送が関東→関東の場合(荷物のサイズは3辺計)

増税時の値上げはここまでで良いはずですよね。しかし、現金で支払った場合は違います。「キャッシュレス運賃」が適用となる運賃ではしっかりと増税分が料金に上乗せされています。

「現金運賃」で関東からの荷物を送る際の新運賃表がこちら↓

ヤマト運輸公式HP(http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/info/pdf/info_190904_04.pdf)より引用

 

「現金運賃」の場合、運賃の1円単位が切り上げられました。一体なぜ、現金で支払う場合の多い配送運賃をキャッシュレス運賃よりも多く取る必要があるのでしょうか?

そう。これこそ、正真正銘の”便乗値上げなのです。特に書類や小物などで多くの荷物が出る60サイズの配送に関しては6円値上げです。

消費税8%の時と比べるとグッと高くなった印象です↓

キャッシュレス還元の使い方が根本的に間違っている!

さすがにこんな値上がりはおかしいですよね。さらにもう一点、このヤマト運輸の新運賃体系を見て疑問に思う事があります。

それは政府の「キャッシュレス決済・消費者還元」の方針と大きく違うのでは?ということです。

本来、キャッシュレスで支払った場合電子マネーやポイントなどで増税分を還元しようという話ではなかったのでしょうか。

一見キャッシュレス還元しているかのように見せていますが、実際は還元でもなんでもありません。それでも『キャッシュレス還元はしている』と断言できるように体制を整えています。消費者を上手く騙して便乗値上げを進めていると感じますね。

消費者に選択肢を与えて反論の余地がないように

この新運賃の「キャッシュレス運賃」か「現金運賃」の選択は消費者側にあります。なのでクレームが来ても「キャッシュレスが普及している現在、高い方の現金支払いを選んだのはあなたですよ」という態度が取れるわけです。

しかし、実際ヤマト運輸で使える電子マネーは多くありません。そして今回の発表ではクレジットカード決済が「キャッシュレス運賃」に適用されるという明示がないのも怪しいところです。

実際に増税が始まらないと分からないところもありますが、ヤマト運輸のキャッシュレス化への取り組みを見ても「現金運賃」を利用する人々が圧倒的に多いと予想されます。

このような動きはヤマト運輸に限った事ではなく、消費税増税とキャッシュレス決済を絡めてあたかもキャッシュレス還元しているように仕向ける企業は増えていくでしょう。フタを開けて見ればただ値上がっただけという事が多々出てくると考えられます。もちろん、政府のキャッシュレス還元の方針が曖昧なところにも原因はあるでしょう。

さいごに

増税だから値段が上がるのは100歩譲って仕方ないとしても、それに便乗してモノ・サービスの価格を吊り上げる”便乗値上げ”はいかがなものかと思います。フィンテックが普及した現在、キャッシュレス決済は非常に便利なツールとなり至る所で決済が簡単に行えるようになりました。

そのように便利なテクノロジーを値上げのために利用するなど、本来あってはならないことではないでしょうか。

そして消費税増税のために生活に直接ダメージを受ける我々消費者に便乗値上げというものはさらに追い打ちをかけるものです。

現在の法律では”便乗値上げ”に具体的な罰則がなく、企業の判断で行えてしまう体制にも問題はあるかと思います。

今後増税後も値上げをしてくる企業はどんどん出てくると考えられます。値上げを決行する企業も消費者の目線にたって一度よく考えていただきたいものです。

 

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